あらためて「パッシブデザイン」を簡単に説明しますと
自然エネルギーを利用して快適な室内環境を作る設計手法」ということになります。

で、今回は「通風・換気」についてです。


通風・換気は、パッシブデザインの中でも重要な要素です。

なぜなら、通風・換気によって、

 ●室内の空気を新鮮に保ち、健康や快適さに影響する二酸化炭素や湿度、有害物質などを排出できます。

 ●室内の温度や湿度を調整し、冷暖房の負荷を減らせます。

 ●自然光や景色を取り入れ、心地よい空間を演出できます。


通風・換気の方法には、

 
人工的な機械換気

 
自然的なパッシブ換気

があります。
パッシブ換気は、室内外の温度差や風力によって空気の流れを作り出す方法です。

パッシブ換気には以下のようなメリットがあります。


 ■電力消費が少なく、ランニングコストが低いです。

 ■静かで快適な空間を作ることができます。

 ■環境に優しく、CO2排出量を削減できます。


温度差換気とは、
室内外や室内間の温度差によって生じる空気密度の差がもたらす煙突効果を利用する換気方法です。温度差換気では、高い位置にある窓や煙突から暖かく軽い空気が排出され、低い位置にある窓や床下から冷たく重い空気が給入されることで、自然対流が起こります。

温度差換気
出典:リクシル「パッシブファースト早わかり」


温度差換気のメリット

●室内外の温度差が大きいほど換気効果が高まります。

●卓越風向や二方位開口などの風力換気と組み合わせることで、さらに効果的な通風・換気ができます。

床下暖房や蓄熱式暖房などと連動させることで、冬場でも快適な室内環境を作ることができます。



風力換気とは、
外部から吹く風や建物内部で発生する風圧差を利用する換気方法です。

風力換気
出典:リクシル「パッシブファースト早わかり」


風力換気では
卓越風向や二方位開口などの風向・風速に応じた窓の配置や形状が重要です。特殊な給排気口を使うことで、風力換気効果を高めることができます。

 
卓越風向:気象庁でも使用される用語にも載っている「卓越風向」とは、ある地点で月ごと、または年間を通して一番吹きやすい風向と書かれています。


卓越風向の利用
通り抜ける風を上手につかまえる方法、ウィンドウキャッチ窓があります。

ウィンドウキャッチャー2

出典:YKKAP

左図の引き違いの窓よりも右図のすべり出し窓の方が風を上手につかまえられ、室内へ誘導することができます。
ですが、風が吹く方向やすべり出し窓の設置の仕方により効果も変わっていきます。

通風計画を行うには、建築場所でどのような風が吹くのかを把握してすることが大事になります。
周辺の状況や季節時間によって風向や風速の変化も調べておく必要があります。


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因みに、地域ごとの風の特性については、
(一財)住宅・建築SDGs推進センター 自立循環プロジェクト 自立循環型住宅にて確認することが出来ます。
ホームヘージはこちら→
自立循環住宅プロジェクト (jjj-design.org)