自然素材の木の家の効果

今まで木の家は、「心地よい」「調湿性能がある」「ストレスを和らげる」「集中力が向上する」など感覚的に「そうであろう」と思っていた程度でしたが、本当に様々な効果があることが実験により証明されています。

ここで言う「木の家」とは、
①木造住宅で集成材や内装に工業化製品である複合フローリングやビニールクロスなどを使用していない。
②木造住宅で内装に自然素材である杉等の板を使用している。
と定義します。

では、どんな効果があるのか見ていきましょう。
※この内容は「木の家の健康を研究する会」出版の「健康に良い自然素材の木の家」より引用しています。詳しい実験結果、内容は下記HPをご参照ください。

参考URL 木の家の健康を研究する会


【1】リラックス効果
木の家、木の香りって、なんだか凄く癒されます。

 香りは嗅覚を通して感情や記憶を司る大脳辺縁系にダイレクトに作用し、私たちにさまざまな効果を与えると言われています。スギの無垢材は豊富な香りを有しており、その香りの大半を占める成分はセスキテルペン類です。経過年数による明らかな香りの減少は確認されず、部屋の中の空気に含まれる木の香りが維持されていることも分かりました。
 例えば、スギ無垢材を内装に用いた部屋では非無垢材を内装に用いた部屋に比べて、このセスキテルペン類の平均濃度は最大で4倍以上高く検出されました。


【2】睡眠の質的向上
睡眠の質が高くよく眠れる。。。

 睡眠中の脳波、心電図、血圧、脈拍、睡眠時の活動量、温度・湿度を測定し、起床時の睡眠感の評価を行った結果、より良質な睡眠を提供できる空間である事が分かりました。


【3】調湿効果
ジメジメな雨の日を快適に乗り切れる

 木の家には調湿効果があるといわれています。具体的には湿度が高い時には湿気を吸収し、乾燥時には湿気を放出します。そうする事により、湿度に応じた除湿・加湿の2つの働きをします。木の家の調湿機能を調べた結果、無垢材の家では非無垢材の家と比較して相対湿度が約10%低値を示しました。木の家に調湿作用があることは、快適性を説明する一因であると考えられます。


【4】集中力向上
子供の集中力をアップしたい。。。

 ①集中力が高く保たれている
 ②疲労回復効果や安らぎ効果が期待できる

 無垢材と非無垢材をそれぞれ内装に使った2部屋で課題をこなしてもらった結果、無垢材を内装に使った部屋では、誤答率が低く(正答率が高く)、反応速度も速いという結果が得られました。このことから、無垢材を内装に使った部屋では、集中力が高く保たれていることが分かりました。
 また、部屋に入った印象を答えるアンケート結果では、無垢材を内装に使った部屋でリラックス効果を示唆する回答が得られました。木の内装は、仕事場や勉強のスペースに使われることに向いていると言えそうです。

 自律神経系は作用が相反する2つの神経、すなわち交感神経と副交感神経に分類されます。両者のバランスがうまく取れないと体調を崩したり、物事に集中できないなど作業効率が下がってしまいます。
  無垢材の家と非無垢材の家でそれぞれ作業課題を行った結果、無垢材の家において交感神経活動が最大で14%抑制されたのに対し、副交感神経活動は最大で16%亢進しました。このことは、木の香りにより緊張とリラックスのバランスが保たれ、集中して作業課題に取り組めていることを示唆しています。

【5】抗菌作用
細菌の繁殖を抑える子供にも安心な家

 ①スギ無垢材は黄色ブドウ球菌に抗菌効果を示す

 私たちの身の回りには、カビや細菌といった目に見えない沢山の微生物が存在しています。中でも食中毒の原因として有名な黄色ブドウ球菌は、人や動物の皮膚、もちろんホコリの中にも存在する、とても身近な細菌です。
 この黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果を調べるため、無垢材、塩化ビニル素材およびコピー用紙(コントロール)を細かくしたものに菌液を添加して培養する実験を行いました。
 その結果、コントロールであるコピー用紙や塩化ビニル素材で培養したものは2000個近くのコロニーを確認したのに対し、無垢材で培養した場合は0~2個しか確認できませんでした。
 この実験から、スギ無垢材は黄色ブドウ球菌に対して抗菌効果を示すことが明らかになりました。


【6】性別による印象差
女性の方が落ち着きやすい!?

 ①女性は、無垢材の良さを感じやすい

 無垢材の家の快適さは「性別」によって、受ける印象がかなり大きく異なることを明らかにしています。 具体的には女性の場合、無垢材の部屋では非無垢材の部屋より「居心地が良い」「落ち着いている」「明るい」といった日常生活には大変重要でかつリラックスに関係するような印象を統計学的に有意に強く感じていることが分かりました。


【7】認知症抑制
老後も二人で元気ハツラツ

 ①認知機能の向上
 ②記憶機能の向上

「人生の最後まで健康に過ごす」ためには、日常生活に影響のない「健康寿命」を延ばすことが重要です。身体の機能低下や認知症などの発症の予防を考えた時、住環境の工夫も、個人で調整できる重要な因子です。
高齢者施設での比較試験を行った結果、10名中
無垢材群の1名において、認知機能、記憶機能の双方が改善しました。
 人間の記憶は、大脳辺縁系の中にある「海馬」という部分が司っていますが、海馬に直接的に電気信号を送れる唯一の感覚が嗅覚であるといわれています。海馬での神経細胞の発生を促進することで、認知機能が改善したという報告もありますので、木材の主要な揮発性成分が多く含まれる無垢材の部屋では、木の香りによって同様の効果がみられたものと推察されます。


【8】生理・心理的向上
身体も心も健康に!

 ①嗜好に関係しない血圧低下効果がある

樹脂系の内装材が好きと答えた人でも、木の家が好きと答えた人と同じように、作業課題後、血圧が低下していました。つまり、木の家の生理学的効果は、好き嫌いといった嗜好の影響を受けずに、体に直接作用することが分かりました。
 これはスギから揮発するセスキテルペンが鼻や肺を通って体に取り込まれている効果であると考えられます。例えば樹脂系内装の部屋に普段住んでいて、木の家に慣れていない人でも、木の家の持つ生理学的な効果は変わることなく発揮されるということが新たに明らかになってきました。

 ②ストレスを低減する効果がある

唾液アミラーゼはストレスを評価するための指標として使われています。ストレスや緊張を感じると、唾液アミラーゼの分泌が増加します。逆に、リラックスしてストレスが軽減されると、唾液アミラーゼの分泌が減少します。
 スギ無垢材と非無垢材をそれぞれ内装に使った2部屋で課題作業前後の唾液アミラーゼの含量を測定した結果、試験終了後の唾液アミラーゼ含量は、木の家では35.7%と大きく減少したのに対し、非木材の家では5.9%上昇しました。このことは、天然スギ材由来のセスキテルペン類の放出量が多く、唾液アミラーゼの減少やストレス状態を改善させ、ヒトの生理・心理面に好ましい影響を及ぼしている木の家の可能性を強く示しています。

 ③心穏やかに過ごすことができる

天然の木の家の香りは豊かである。きっと多くの人がそのようなイメージを持っているのではないでしょうか。 木の家に具体的にどのような香りの印象を人々が持っているかについて、「好き-嫌い」、「はっきりした-ぼんやりした」といった対となる形容詞を用い調査を行いました。
 その結果、特にスギの天然乾燥材を内装に用いた場合、単に「強く」「はっきりとした」香りを感じるだけではなく、「リラックスできる」「上品な」といった項目が高く評定されました。
 天然乾燥の木の家で過ごすことは、豊かなはっきりした香りに包まれるだけではなく、上品さを感じながら、かつ心穏やかに過ごすことができる可能性を強く示唆しています。

 ④心理状態をポジティブにさせる

スギ天然乾燥材と樹脂建材をそれぞれ内装に使った2部屋で、その作業前後に医療や産業場面で幅広く活用されているPOMS2というアンケートで作業課題前後の気分状態の変化を調査しました。
AH(怒り-敵意)・CB(混乱-当惑)・DD(抑うつ-落ち込み)・FI(疲労-無気力)・TA(緊張-不安)・VA(活気-活力)・F(友好)の7尺度に加え、TMD(ネガティブな気分状態の総合値)から 、この中で特に重要なのはTMD(ネガティブな気分の状態)総合得点の変化です。

 結果、樹脂建材と比較して天然乾燥材を用いた部屋の方が、当惑-混乱といった心理的尺度に加え、ネガティブな気分状態の総合値を有意に低下させる事が分かりました。天然スギ材特有の香り成分や質感などがヒトの心理状態をポジティブにさせた可能性が高いと考えられます。

 ⑤脳を直接活性化

 Fmθ(エフエムシータ)という特殊な脳波に注目しています。前頭部の正中線上から記録されるθ波です。θ波は4-7ヘルツ(1秒に4-7回)の周期のサイン波ですが前頭部で記録されるFmθは精神作業や記憶を司る海馬の神経活動と関連していると言われています。
 そこで天然乾燥材の木の家と樹脂系内装材の家で作業課題をした時のFmθ振幅の変化を比較してみました。その結果、天然乾燥材の木の家ではFmθ振幅は最終的に1.5%上昇しました。

 しかし、樹脂系内装材の家では、10.2%も低下することが明らかになりました。このことは、天然乾燥材の木の家では、海馬の記憶の神経活動や精神的な集中が樹脂系建材の家で作業した時よりもはるかに低下しにくい可能性を示唆しています。
 
【9】抗ウイルス効果
ウイルスの感染を防ぐことは可能なのか?

 ①感染力を低下させる抗ウイルス効果がある

 季節性インフルエンザは、世界中で繰り返し流行しており、日本では冬になると毎年のように流行がみられます。また、近年、新型コロナウイルスやSARSなど新しいウイルスによる感染症が流行し、大きな社会問題となっています。
 そこで、スギ無垢材および樹脂建材の、抗ウイルス効果を、インフルエンザウイルスA型(H3N2)を用いて評価した結果、スギ無垢材は、インフルエンザウイルスA型(H3N2)を99.9%以上不活化することが確認されました。


このように様々な効果が実証されています。
木材(杉)はとても素晴らしい素材だと言えます。


私が築10年弱のアパートに三年間住んでいました。冬になると室内が乾燥し喉が痛くなって咳が出始めて1カ月くらい中々治まらないことが三年間毎年続きました。

その後、自身が設計した「木の家」に越してきてから今年で三年目ですが、そのようなことは全く起きていません。
これも「木の家」の効果だと思っています。

これからは、今よりもっと健康が大切な時代がやってきます。
「AppleWatch」にしても、睡眠、脈拍、心拍、酸素、心電図など測定し、そのデータを蓄積し健康管理ができるようになってきています。

「木の家」に住むことでその健康が手に入れられるのです。